病院経営管理士会

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会誌(JHAC)

【病院経営管理士会会誌「JHAC」】

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JHAC 29号

目次

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病院経営管理士通信教育 優秀卒業論文

職員満足度調査向上に向けた人事評価制度改革の取り組み
~人財育成を主軸とした改革の第1報~

牧田総合病院 事務局長
板谷 匠

今回,職員満足度向上を目的として人事制度改革を行った。その中の評価制度について課題抽出を行い,①人事理念の策定②行動評価項目への反映,項目の見直し③所属長目標の改訂④評価フローの見直し⑤評価者マインド研修などの取り組みを行った。さらに2023年度は行動評価の妥当性向上を目的とした研修や継続的な評価者マインド研修を行い,最終的には評価者自身が自部署での評価基準の統一化を図り,当事者感を持った制度運用へと繋げていく。

医事課職員の時間外労働時間削減と労働環境改善の取り組み

とうめい厚木クリニック 事務部 事務長
和田 博貴

今回の取り組みは,当院に勤務する医療従事者の中で,特に時間外労働時間が多い医事課職員に焦点を当て,時間外労働時間が多くなっている原因を考察し,コストが発生する機械やソフトウェアの導入などではなく,勤務時間内での働く環境を見直し,職員が集中して働ける仕組みを構築したことで,医事課職員の時間外労働時間を削減したものである。これからその方法と成果について報告する。

「医師の働き方改革」への取り組みと課題

松江赤十字病院 副院長
内田 靖

勤務医の時間外労働時間上限規制が2024年4月に導入される。当院では2018年度から「医師の働き方改革」に取り組み始めたが,対象者である医師たちの意識改革に難渋した。医師に直接介入が必要と判断し,2021年度に担当院長補佐を配置した。結果,取り組みや休息時間への理解,年間時間外の短縮傾向は認められたが,救急業務への対応,時間外労働と自己研鑽の取り扱いに関して,各診療科内の特性,内情に課題を残した。

病棟薬剤師業務の生産性向上のための施策とその効果

倉敷中央病院 薬剤部 病棟薬剤室長
亀井 健人

病棟で業務を行う病棟薬剤師の配置体制について各病棟毎の専任担当制から,複数病棟をグループ化し,複数病棟を複数薬剤師で担当する病棟グループ制を導入することにより,各病棟でまちまちであった運用手順の標準化を進めた。その効果として人員配置のムリ・ムダ・ムラが改善され薬剤管理指導件数の増加による病院収入増加,薬剤師の時間外労働時間減少による人件費減少が達成された。また育児期間中の時短勤務者も病棟業務にあたることが可能となった。

JHAC 28号

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病院経営管理士通信教育 優秀卒業論文

救急患者の域外流出を防ぐ体制づくり
〜救急隊員へのアンケート調査を元にした取組み〜

社会福祉法人仁生社 江戸川病院 事務部 診療情報管理課 課長
伊藤 健悟

当院の位置する東京都江戸川区には大学病院や公的大規模病院がない。東京都地域医療構想において,区東部 医療圏では2025年には一日当たり379.3人もの急性期患者が域外流出する1)と推計されており,また,例年江戸川区の救急応需率は都平均を下回っていることが指摘されている。 地域の救急医療において当院が果たすべき役割は多く,今もなお中期計画の只中で救急体制を強化しているところであるが,本稿ではその際に課題抽出のために行った 救急隊員へのアンケート調査を元にした取組みを報告する。

ビジョン策定による組織改革の取組みと意識変化の検証

安曇野赤十字病院 事務部 経営管理課 係長
神戸 洋介

当院は理念・基本方針はあるものの,ビジョンが策定されていなかった。病院の具体的な方向性が明確にならず,職員の思いはバラバラな状態であり, ネガティブな意識が大勢を占めていた。今回,組織改革・組織の自立化への第一歩としてビジョン・戦略を策定し,意識改革を図る取り組みを行った。 コロナ禍で大規模な集合会議・研修が出来ない中で,全職員にビジョン決定プロセスへの参加意識を持たせ,更には組織に浸透させるには どのような手法が有効なのかを模索しながら取り組み,それによる職員の意識変化について検証を行った。

地方の中規模病院における医業収支改善のための適正職員数についての
考察

益田赤十字病院 事務部会計課 会計係長
長藤 啓

当院は平成25年度以降,毎年度医業収支の赤字が続いている。集患や費用削減の努力は続けているが,平成27年(2015年)から 令和2年(2020年)の人口減少率が−5.69%と,少子高齢化が著しい益田市にある当院においては,画期的な増収は望めない。 さらに令和2年度は新型コロナウイルス感染症流行の影響により,延患者数は前年度比で入院が−4.4%,外来が−2.0%と厳しい状況にある。 そこで医業収支改善を図るため,労働分配率や労働生産性に着目し,適正職員数とその費用削減効果について考察する。

COVID-19禍の有症状患者受付に対する取り組み

兵庫医科大学ささやま医療センター 篠山事務部医療課 課長
遠山 真吾

兵庫医科大学ささやま医療センターは,新型コロナウイルス感染症拡大防止ならびに受診医療機関にとして,帰国者接触者外来を開設した。 開設後は流行の波があるものの受診患者数が増加し,理念で掲げる「安全で質の高い包括的医療を通じて,安心な地域づくりに貢献」 できるよう積極的に患者を受け入れてきた。しかし患者受け入れ数増加に伴い受付業務等に要する時間や問診に要する時間が増加したことから, 医師,看護師,コメディカル,事務職員からなる「新型コロナ対策会議」を招集し様々な施策を講じた。受診効率改善を目指した様々な取り組みの成果や, 今後の課題について報告する。

DPC 公開データと将来推計人口データを使用した当院の将来推計患者数と
将来必要病床数の算出

島根県立中央病院 事務局 経営部 診療情報専門幹
内谷 隆之

DPC 公開データ,将来推計人口データ,市町村年齢別人口データ,MDC 別年齢別当院退院患者数データを用いて, 医療圏別の将来推計患者数および当院の将来推計患者数を推計し,2045年までの当院の将来必要病床数を算出した。 結果,当院の将来必要病床数は2020年比較で2025年に約10床,2045年に約40床の減床となった。 年齢別では80歳以上の推計患者数のみ増加しており,高齢者疾患を対象とした医療体制の整備・強化の必要性が示唆された。

JHAC 27号

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病院経営管理士通信教育 優秀卒業論文

新型コロナウイルス感染症流行期における新規患者確保の取組

横浜労災病院 事務局次長兼地域医療連携室長補佐
髙橋 幸男

2020年初頭に新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という。)の流行が始まり,我が国の市民生活は大きく制限されることになった。 多くの人が感染を恐れて検診や受診を控えたため,各病院の外来・入院患者数は前年より大幅に減少し,医業収支は悪化した。 COVID-19への対応と患者数の確保は各病院にとって大きな課題となった。横浜市で高度急性期医療を担う当院において, 筆者が所属する地域医療連携室が新規患者確保のために行った取組を報告する。

令和3年度介護報酬改定における訪問リハビリテーション事業の課題について
(試算表の検証と業務改善課題の抽出)

社会医療法人財団慈泉会 相澤地域在宅医療支援センター管理事務部
部長兼リハビリテーション部門 統括科長
鈴木 修

運営戦略立案資料として独自に作成した試算表の有用性と訪問リハビリテーション事業の業務改善課題を検討した。結果,独自の試算表は,自動計算による簡便さや正確性, 算定割合等を自由に変化させることができる利便性から強化すべき加算項目等の運営戦略を検討するのに有用であることが証明された。また,業務改善課題として, リハマネ加算A,Bの取得のためにテレビ電話装置等を活用していくことが有効であることが示唆された。

地方の総合病院における医療連携の有効性に対する多角的検証

社会医療法人蘇西厚生会松波総合病院 総務部 部長
残馬 仁

現在,医療連携の推進は,国が地域包括ケア構想を掲げて以来,加速度的に全国に広がった結果,あらゆる医療機関で実践されている。松波総合病院においても同様に医療連携を推進しているが,定性的な分析しかされてこなかったため,定量的な検証を実施した。2016年に Japan Marketing Academy Conference Proceeding vol.5に寄稿された「医療連携における診療所の意思決定プロセスと BtoB マーケティングの有用性についての考察」を元に,都市部ではなく地方の総合病院での検証を行った。特に,地方特有の車社会における患者の移動距離を中心とした多角的な検証と考察を元に実践した結果を明記する。

人事考課がもたらす病院経営と人〜人は城,人は石垣〜

地方独立行政法人明石市立市民病院 人事課
竹中 祐造

当院は,地域の中核病院として,①人材育成②職員のモチベーション向上③組織の活性化が必要となることから,平成28年度より人事評価制度が,本格的稼働となった。問題点としては,BSCから個人目標を設定すること,安易に達成できる目標を設定することである。また,賞与の増減が多額になることや,評価者により評価に差が出る場合が挙げられる。特に普通の評価結果「B」であっても,賞与が下がってしまう現象が起こる。病院のビジョンでも示される「医療と経営の継続的な質の向上」の中での重要課題は,職員の意識改革の推進である。BSCを用いた方針管理と目標管理は,職員の人事考課を行うことで,標準化意識・帰属意識・自立意識・コスト意識に繋がることとなり,職員のモチベーションの向上が病院経営を支える重要ポイントである。 取り組みの方法としては,過去のデータをもとに課題解決に向けた人事評価制度の見直しを,項目ごとにシミュレーションし,目標値の設定を行った。 結果,目標値で掲げた数値をクリアすることができたことで,職員のモチベーションの向上に結びつき人事評価制度のシステム構築に取り組むことができた。

予算編成再考による収支安定化に向けた取り組み
〜管理部門としての立場から〜

学校法人兵庫医科大学(兵庫医科大学病院)財務企画部財務企画課 課長補佐
松本 知之

当院は230床の急性期病院であり年間約4,500件の救急受入れを行うと同時に,地域医療支援病院として地域の住民の方々や登録医の先生方にいかなる時も対応する「即時対応」が求められ「頼りになる病院」を目指して地域社会の健康に安心と安らぎを与えることを使命としている。今回,医療技術部門の放射線課ですべての検査依頼に対して「断らない・待たせない」を目標とし業務改善・教育システム構築を行った。結果,人員定着による質の向上,検査件数の増加等に繋がり,専門職の業務改善は病院経営に大きな効果があるという結果となった。

サスティナブルな病院経営を実現する財務管理

公益財団法人操風会 岡山旭東病院 事務部 業務管理課 課長
大月 俊之

病院は「非営利組織」であり,その存在理由は,地域からの使命を果たすことである。その使命を果たす為には人材確保,人材育成,設備投資が必要であり,その為の「利益」を確保しなければならない。医療費の削減や少子高齢化に加え,2020年の新型コロナウィルスの感染拡大など病院経営は厳しい状況にある。固定費の割合が高く,損益分岐点が高い医療において,どのような運営をして「利益」を確保し,地域へ医療サービスの提供を継続していくのか,財務の側面から考察した

JHAC 26号

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病院経営管理士通信教育 優秀卒業論文

益田市人口推計に基づく外来患者推移と供給医療体制の変化

益田赤十字病院 事務部企画課 経営管理係長
秋吉 政幸

全国で少子高齢化が促進し地域包括ケアシステムの構築が急がれる中,全国 位の高齢化率である島根県にあり,なかでも人口減少の進んだ益田市において,今後市内の患者数はどのように変化していくのか。また,高齢化は患者だけではなく医師にも影響するため,診療所の医師数がどのように変化していくのかをシミュレー ションする。それらより今後医療需要(外来,在宅機能)を満たすためにどのような取り組みが必要か考察する。

当院における地域連携推進の取組について

横浜市立大学附属病院 医学・病院統括部 地域連携課長
深澤 博

当院では,地域医療連携の推進に向けて様々な取り組みを行っている。主には逆紹介推進に向けて地域医療機関の診療内容調査を行い,それらを診療科にフィードバックしたことや,逆紹介先の検索を地域連携課がサポートできるような取り組みを行ったこと,患者に向けて,登録医療機関の案内をデジタルサイネージやホームペー ジを用いて充実させたことを報告する。

地域で支えるがん患者ケアを目指した薬・薬連携の構築

社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 薬剤センター センター長
鬼窪 利英

厚生労働省が示した,患者のための薬局ビジョンでは,医療機関との連携を密に行い,地域包括ケアシステムの一翼を担うことや,高度薬学管理機能を有した薬局が必要となることが謳われている。地域包括ケアシステム構築のためには,単医療機関との連携では不十分であり,地域の複数医療機関と,地域薬剤師会の連携が重要となる。ビジョンに対応していけるように,長野県中信地区の医療機関薬剤師と,松本薬剤師会で協働し,薬・薬連携の構築を行った。

『野球型』から『フットボール型』組織への改革と効果

一般財団法人京都地域医療学際研究所がくさい病院 事務部 部長
吉田 潤

私がこれまで,理想的なチームや組織のあり方としてきたのは,いわゆる「野球型」の組織であった。いわば,監督とも呼ぶべき上司が戦略を立て,ほぼすべてを判断・決定して指示を出し,選手にあたる部下が躊躇なくその指示に対し忠実に動くことを求めるというシステムである。それが「指示を仰ぎ,そのとおりにやる」日本人の資質にはもっとも合い,かついちばん効率がよいと考えて実行していたし,事実,特に病院の繁忙期や過渡期には大いに機能した。未成熟の状態にある個人や組織を,一定期間内にあるレベルまで引き上げるには,最短で最適な方法であろう。私が7年前,当院へ入職した時,当院の事務部門は,まさにこの「野球型」組織であった。私自身,学生時代は野球部に所属し,また社会に出てからも「野球型」組織の中で育ってきた。入職後も,従来の体制をそのまま引き継ぎ日常業務を行っていたが,日常業務に組織体制の違和感を抱き,また自身の役割に,キャパシティーを超える責任が増加したことがきっかけとなり,組織構造を改めて考え直すきっかけとなった。現代の社会構造は,「フットボール型」に移行している。特に医療業界においては,何事にも不確実な要素が多く,プランどおりに物事が進んでいくことはほとんどない。野球のように攻撃と守備が順番に繰り返されるものではなく,攻守交替に似た現象は予想を飛び越えてたびたび起こる。たった今まで攻める戦略をしいていたのに,急に守りに入らなければならない状況になるケースはめずらしくない。スピード化・情報化が飛躍的に進み,人々の価値観も多様化したのに伴い,ビジネスの現場においても,あらゆる局面にスピーディかつ柔軟に対応する力が組織に求められるようになってきている。上からの命令を正確に行えればいいというのではなく,組織を構成する個人個人が状況を把握し,自分で考え,正しく行動できるようにならなければ,これからは生き残ってはいけない。
その中で私は,数年前に受講した,ラグビーというスポーツに組織論を重ねた経営セミナーを思い出した。講師は,ラグビー元日本代表・平尾誠二氏である。彼が唱えた『フットボール型組織』への改革は,当院の組織改革に有効であるのか,事務部門で作成されたバランスト・スコアカード(Balanced Scorecard 以下BSC)の内容や職員の意識変化などを考察し,結論を導きたい。

専門職が業務改善を行うことにより病院経営に与える効果の検討
~診療放射線技師の目線で病院経営を考察する~

社会医療法人若弘会 本部 人事課
花木 貴志

当院は230床の急性期病院であり年間約4,500件の救急受入れを行うと同時に,地域医療支援病院として地域の住民の方々や登録医の先生方にいかなる時も対応する「即時対応」が求められ「頼りになる病院」を目指して地域社会の健康に安心と安らぎを与えることを使命としている。今回,医療技術部門の放射線課ですべての検査依頼に対して「断らない・待たせない」を目標とし業務改善・教育システム構築を行った。結果,人員定着による質の向上,検査件数の増加等に繋がり,専門職の業務改善は病院経営に大きな効果があるという結果となった。

大学病院分院の赤字経営脱却に向けた取り組み

兵庫医科大学病院 病院事務部 管理課 課長補佐
永井 大樹

平成9年10月に国立篠山病院から経営移譲を受け,学校法人兵庫医科大学病院の分院として開設された兵庫医科大学ささやま医療センターは,長年にわたり業績が低迷しており,ビジョンに掲げる「地域に貢献し,地域から信頼され,そして働きがいのある病院」を達成し事業を継続していくためには,経営基盤の安定化が最重要課題であった。この赤字経営からの脱却に向けた経営改善の取り組みについて,その方法及び成果と今後の更なる発展のための方向性について報告する。

病院における高効率照明導入による多角的コスト削減に関する研究

医療法人三和会国吉病院 管理部
津田 康弘

病院の照明器具を全て高効率照明に交換することで得られるコスト削減効果について多角的に検討したので報告する。本研究で検討するコストとは,施設の電灯回路における消費電力,光熱費,消耗品費,消耗品保管費である。各照明器具の消費電力はカタログに記載されているが,点灯時間も含めた消費電力の実測を施設全体で実測した研究例はない。そこで本研究では,施設全体での削減コストの予測値と実測値を比較することを試みた。照明器具のカタログ掲載値から立てた予測値と実際に削減された消費電力には有意な差があった。光熱費,消耗品仕入費,消耗品保管費は有意に減少した。

JHAC 25号

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病院経営管理士通信教育 優秀卒業論文

当院における集中ケア病棟の病床機能再編への取り組み

社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 クリニカルパス管理室 室長
前山 健人

病院中心の医療から地域全体で医療・介護を提供する体制構築が推進される今、病院は、病院にしかできない機能を特化する必要がある。

集中ケア病棟の病床運用の現状を把握し、適正な病床運用を検討すると同時にスタッフの労働環境に与える影響や病院収益など多角的に検討したので考察する

「病院の働き方改革」への必要な対策の検討

社会医療法人厚生会木沢記念病院 人事部長
廣瀬 聡

病院の働き方改革を実現させるためには、医療保険制度、診療報酬体制、医師需要体制、専門医制度など外部の制度改革と病院が主導して行う必要のある自院の医療提供体制や労務管理などの内部改革の両方が求められている。

国が求める働き方改革とのイメージのギャップを解消するため、病院として、どのような取り組みが必要なのか整理したい。

切れ目のない医療の提供を支援する院内組織"入退院支援システム
『Patient Flow Management(PFM)』"の導入・構築に向けた取り組み

藤枝市立総合病院 医療情報室 診療情報分析係係長
塩澤 裕司

外来から入院そして在宅等へ・つなぐ・という切れ目のない医療の提供を支援し、地域完結型医療を目指すことであった。

PFM の導入・構築までの経緯と課題の報告、そして今後の展望について考察する。

担うべき訪問看護の機能と規模に関する考察

公立豊岡病院組合 統轄管理事務所総務部出納室
岸本 大佑

2018年度から新たに「訪問看護ステーションひだか」を立ち上げることになった。日高医療センターが但馬医療圏で新規に訪問看護事業に進出する際に検討した担うべき機能と規模について、一考察として報告する。

医療法人の内部統制に関する法的規律から見る内部統制システムの必要性

社会医療法人仁厚会 倉吉病院 総務課
清水 康之

内部統制システムは医療法人において必要なものであり、地域の医療を支える社会的存在としてその整備に積極的に取り組んでいくべきものであると考える

JHAC 24号

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病院経営管理士通信教育 優秀卒業論文

入院前面談(外来から始まる入退院支援)の課題と展望

横浜市立市民病院(横浜市医療局病院経営本部)新病院推進課長
神内 浩

患者・家族が安全に入院中の治療を受け,退院後に安心して住み馴れた地域に帰る事を目的に,当院では平成26年度からPFM(Patient Flow Management)の体制を整備してきた。平成30年度診療報酬改定では,入院前からの患者支援に対する加算が新設され,これまでの取組に対する一定の評価がなされた事を受け,当院での入院前面談の課題と今後の展望について考察する。

エネルギー供給システム,コージェネレーションシステムの効果検証

社会医療法人大雄会 法人本部 総務課 施設管理グループ
杉本 政夫

当院におけるエネルギー供給システムのひとつであるコージェネレーションシステム(コージェネと略す)の省エネルギー効果について発電電力,排熱利用といった電気エネルギー,熱エネルギーの有効利用により,環境問題の面から一次エネルギー原油換算削減量(省エネ量と略す)について,エネルギーコストの面から病院経営に与える影響について,実測したデータをもとに,コージェネを導入していない「従来方式」と「コージェネ方式」を比較してその効果を検証した。

病院新築移転と祝日開院による労働生産性への影響に関する考察

大阪府済生会野江病院 副事務部長
田上 肇

これからの病院は労働人口減少の限られた医療資源の中,人員確保と同時に効率的な医療も求められていく。労働集約型の病院がこの環境の中で,多様化する患者ニーズに応え得る医療を提供して持続的な経営を行うには,労働生産性が重要な指標となる。単に数値の改善を追求するのではなく,インプットとアウトプットとのバランスが大切であり,そこには人が継続して働くことができる環境整備がなければならない。労働生産性は「あるべき姿」に向かうための指標として重要なポイントを見出すことができる。

奥出雲町の地域包括ケアシステムはこうつくる
―「地域医療連携推進法人」は利用可能か―

町立奥出雲病院 病院長
鈴木 賢二

わが国の医療・介護の環境変化に対応するために地域包括ケアシステムの構築が急がれている。国は医療・介護制度の持続可能性確保と成長の観点から地域医療連携推進法人制度を創設した。医療情勢や奥出雲町の医療介護の現状,地域包括ケアシステムの内容,地域医療連携法人制度の仕組みを精査し分析した結果,奥出雲町での地域包括ケアシステムの推進にこの制度を使うことはガバナンスを機能させながら連携を推進するという観点から有効なツールであると結論した。その際,法人の理念・目的を明瞭にした上で医療の立場から行政に 制度づくりを強く働きかけなければならない。

総合病院における高額医療機器導入の貢献利益を簡便に試算する方法の
検討
〜人件費の扱いについて〜

社会医療法人近森会近森病院 管理部 診療支援部施設用度課
宮下 公将

高額備品を購入する際には管理会計にて貢献利益および損益分岐点を試算することが望ましい。しかしながら,総合病院では多くの職員が1日の中でもさまざまな場所で勤務していることから,人件費を固定費として該当部門に配賦することは非常に煩雑な作業である。そこで今回,人件費を簡便に試算する算出式を検討し,当院の実例にあてはめて,投資判断として使用するのに有用な数値が算出できるかどうかを検証した。